鳥語花香録

Umiyuri Katsuyama's weblog

2021-04-01から1ヶ月間の記事一覧

ユキミ・オガワの紹介

Yukimi Ogawa は日本の作家である。もしあなたが知らなくても無理はない。英語で執筆し、発表しているからだ。アメリカで活躍する中国出身の作家のイーユン・リー Yiyun LI が中国語では無理、英語でなくては書けなかったと告白しているように、Yukimi Ogawa…

Frozen Wavelets #6 Winter/Spring 2021

スコットランドの掌編と詩のオンラインマガジン Frozen Wavelets #6 (冬/春合併号) が公開され、拙作てのひら怪談「呪いと毒」の英訳 "Curses and Poisons" (translated by Toshiya Kamei)が掲載されました。frozenwavelets.com 今回はダブリンのワールド…

Dream Date / 仕事のあとに

仕事のあとに Toshiya Kamei 勝山海百合訳 雲一つない、晴れた空が広がっていた。屋上庭園では果物と野菜がたわわに実っている。私はタクシーに乗り込む。高層ビルの間の見えない通路を私たちは飛行していく。 自分のデスクに到着すると、近くの席の同僚のゼ…

Hidden Cattleyas of the Beneath

英国のGhost Orchid Press からBeneathがテーマのホラーDrabbleのアンソロジー Beneath: An Anthology of Dark Microfiction (Hundred Word Horror) Kindle Edition が発売になりました。 拙作「隠されたカトレア」の英訳 "Hidden Cattleyas" (translated by…

The Empty Mirror / うつろ鏡

うつろ鏡 Toshiya Kamei 勝山海百合訳 「ハニー、帰ったよ」歌うような調子で声をかけるが返事がない。 犬が飛ぶようにエントランスに走ってくる。彼の息は荒く、舌がはみ出して垂れている。はしゃいで膝に飛びつく代わりに、唸り、牙をむき出す。 「なにか…

Mythical Creatures of Asia 予約開始

Insignia Stories から 電子書籍で刊行される Mythical Creatures of Asia (Insignia Drabbles #3) の予約が始まりました。 アジアの神話、民話に登場するクリーチャーがテーマの、百ワードの超短編 Drabble のアンソロジーで、拙作の英訳も掲載されておりま…

「虹色恐竜」先行公開

虹色恐竜 Caihong Juji by D.A.Xiaolin Spires四月二十四日、かぐやプラネットで Ⅾ・A・シャオリン・スパイアーズ D. A. Xiaolin Spires の掌編「虹色恐竜」(勝山海百合訳)が先行公開されました。(カバータイトルのデザインは浅野春美 Harumi Asano) 同…

A Husband's Return / もののふの帰還

もののふの帰還 Toshiya Kamei 勝山海百合訳 「お早いお帰りでございますね、わが殿」 シズカは頭を下げてあるじを迎えた。彼女のきものが衣擦れの音をたてる。もののふであるあるじは暗闇の中に立ち尽くし、虚空を見つめている。 「いつお帰りになられたの…

来場御礼(はるこん2020+1)

はるこん2020+1が閉会いたしました。来場した方にも、来場しないことを選択した方にもお礼申し上げます。スタッフの皆さんにはお世話になりました。お疲れさまでした。 www.hal-con.net

Beneath: An Anthology of Dark Microfiction

英国のGhost Orchid Press からホラーDrabbleのアンソロジー『Beneath: An Anthology of Dark Microfiction (Hundred Word Horror)』Kindle Edition がまもなく発売になります。電子書籍です。 Beneath (地下、地底、下のほう)がテーマで、拙作「隠された…

A New Beginning / 人身御供

人身御供 Toshiya Kamei 勝山海百合訳 きものの乙女が震える。白い衣の神官が彼女を引っ立て、彼女はよろめき、ふらつく。紅潮した頬の目隠しに涙が滲む。猿ぐつわで声も出ない。それでも彼女の若い肉体は役目を果たすだろう。遠く響く鐘の音が儀式の始まり…

はるこん2020+1 プログラム

来たる四月十七日、十八日の両日、川崎市国際交流センターで開催されるはるこん2020+1のプログラムが公開されました。 hal-con.net 勝山海百合が出る企画は、初日の午後三時半からの「待てば海路の日和あり How to Export Our Fiction」と二日目の午後二時か…

Caihong Juji「虹色恐竜」予告

かぐやプラネットで、アメリカの新進作家D・A・シャオリン・スパイアーズ (D.A.Xiaolin Spires )の短編 "Caihong Juji" の翻訳「虹色恐竜」が公開されます。四月二十四日(JST 09:00)にかぐやプラネットを応援している方に先行公開され、一般公開は五月で…

海とコーラ

海とコーラ 勝山海百合「兄ちゃん、とめて……」 ヤマグチの腹に響くエンジン音にかき消されながら佐江の声が聞こえたので、路肩にオートバイを止めた。男物の防寒作業着を着た佐江がよろよろと道端に近付いてしゃがんだ。 妹の佐江は海を見たことがなかった。…

A Flurry of Ashes / 風塵

風塵 Toshiya Kamei 勝山海百合訳 刑吏(けいり)がわたくしを押さえつけて、別の一人が赤く焼けた鉄を額に押し当てる。意識を失うまで身をよじらせ、叫び声をあげる。 自分の悲鳴で目が覚める。獄卒が牢獄からわたくしを引きずり出し、儒者と学者でいっぱい…

Frozen Wavelets #6 coming

諸般の事情で刊行が遅れていた Frozen Wavelets #6 (double issue Winter/Spring) が間もなく出ます。拙作てのひら怪談「呪いと毒」の英訳 "Course and Poison" (translated by Toshiya Kamei)が掲載されます。四月十五日の予定です。(追記。二十九日に延…

Mythical Creatures of Asia【予告】

愛知県名古屋市を拠点に活動する Insignia Stories から出版される、アジアの神話や民話に登場する生き物がテーマのDrabble(百ワードの超短編)アンソロジーMythical Creatures of Asia (Insignia Drabbles #3)に拙作の英訳が掲載されます。リプリントです。…

震災学 vol.15

『震災学』vol.15(発行:東北学院大学、発売:荒蝦夷)をご恵送いただいた。ありがとうございます。 第四回仙台短編文学賞の、東北学院大学賞「雑踏を奏でる」(茂木大地)、東北学院大学奨励賞「正解」(川上新)、仙台市長賞「蛍」(本郷久美)が掲載され…

Kappo vol.111

『Kappo 仙台闊歩』vol.111(プレスアート)をご恵送いただいた。ありがとうございます。 第四回仙台短編文学賞大賞「海、とても」(森川樹)とプレスアート賞「月にかける」(東風谷香歩)、選考委員いとうせいこう氏による選評が掲載されている。 kappo.ma…

過ぎにし夏、マーズ・ヒルで

エリザベス・ハンド『過ぎにし夏、マーズ・ヒルで エリザベス・ハンド傑作選』(市田泉訳、創元海外SF叢書)をご恵送いただいた。ありがとうございます。 海辺の村の奇跡、屋根裏の不思議、幻の飛行機械──ネビュラ賞や世界幻想文学大賞を受賞した作品ばか…

はるこん2020+1

感染症の流行により開催が延期されていたはるこん2020が、はるこん2020+1 として四月十七、十八日に開催されます。会場は神奈川県の川崎市国際交流センターです。最寄り駅は東急東横線・目黒線元住吉駅。そこから徒歩十~十二分。www.hal-con.netcovid-19の…

Axxón 299

アルゼンチンのSFとファンタジー、ホラーの雑誌 Axxón 299号に拙作「あれは真珠というものかしら」のスペイン語訳 "¿ES ACASO UNA PERLA?"(TRADUCCIÓN DE TOSHIYA KAMEI)が掲載されました。Revista Axxón » Axxón 299, abril de 2021 - página princi…

$10,350 Funded!

KICKSTARTERで資金を募っていた、ホラーのフィクションとコミックの国際的アンソロジーGreen Infernoは、一万三百五十USDでゴールしました。 ご支援ありがとうございます。 https://www.kickstarter.com/projects/maddoctorscomic/green-inferno-the-world-c…

御衣黄(ぎょいこう)

緑の八重桜の園芸品種「御衣黄」。緑の縞が入っているが、花の終わり頃は赤みを帯びる。 理化学研究所は御衣黄に加速器「リングサイクロトロン」から発生する重イオンビームを照射して突然変異を誘発し、新種を開発した。