てのひら怪談
Antipodean SF 290 豪州のオンラインマガジン Antipodean SF Issue 290 が公開されました。 拙作の英訳 Time Capsule (translate by Toshiya Kamei)が掲載されております。フラッシュフィクションです。今号に訳載されているキューバの Alexy Dumenigo のフ…
BFC(ブンゲイファイトクラブ)オープンマイクに掌編「喫茶アイボリー」が掲載されました。234です。 喫茶アイボリーnote.com
登高 勝山海百合 九月九日は晴天だった。 江南に名高い李家も重陽節の登高をすべく、輿【こし】と車を連ねて名園で知られる香山寺に出かけた。大勢の家人も髪に袖に茱萸【しゅゆ】の紅い実を飾ってあとに続いた。 李家一行は参道の長い石段を登って山門をく…
爪痕 勝山海百合 産まれたばかりの坊ちゃんを抱いて、裏戸からそっと出た。奥様がお産みになった子だが、父親は旦那様ではない。旦那様はもう三年も知事として地方に行ってお戻りでない。これが知れたら奥様は石で打たれて殺されるし、私にも鼻を削がれるく…
小梅さんのかんざし 勝山海百合 お部屋にご案内します。こちらです。 飾り戸の中のかんざし?……ああ、それですか。孔雀石です。昔、まだ鉱山(ヤマ)から銅や亜鉛が採れていたときに一緒に出たんです。絵の具にしたり、磨いて根付けや帯留、かんざしの玉に………
山の王 勝山海百合 あれに銃口を向けたのは、山に入る前にナオにあれの毛皮をねだられたからだ。 (獲ってきたら、あんたと所帯を持ってもいいよ) 犬を連れ、銃弾と食料を持って雪の山に入ると、面白いように獲物が目の前に現れた。猟の成果は充分で、もう…
人魚や水妖がテーマのオンラインマガジン Mermaids Monthly issue #10 で「山の人魚」の英訳 "One Last Shriek"(translated by Toshiya Kamei )が公開されました。 mermaidsmonthly.com umiyulilium.hatenablog.com
One Last Shriek "One Last Shriek" が掲載された Mermaids Monthly 十月号の見本誌をいただきました。表紙はJohn Picacio です。 Mermaids Monthly 10-2021原文はみちのくてのひら怪談の「山の人魚」、英訳はToshiya Kameiです。まもなく一般公開されます。…
Mermaids Monthly 10-2021ヒューゴー賞を受賞した編集者Juria RiosとMeg Frankが編集する、人魚やセルキー、河童、ナーガなど、水妖がテーマの雑誌 Mermaids Monthly 十月号に、拙作「山の人魚」の英訳 "One Last Shriek" (translated by Toshiya Kamei) が…
汝窯と古伊万里 勝山海百合 去年の暮れ、中之島の大阪市立東洋陶磁美術館で汝窯の水仙盆をじっくり眺めた帰り、なにわ橋駅の券売機前に戸惑う様子の男性がいたので声をかけた。灰色のギャバジンのコートを着た三十歳くらいの人で、聞けば堂島に行きたいとの…
驢の教え 勝山海百合(こちらです) その家の数えで十二になる娘が病臥している薄暗い部屋に人の気配が近付いた。娘は肉の落ちた土色の顔で、老婆のようにも見えたが、自分に取り憑き重くのし掛かっている何かが、気もそぞろに離れたがっているのがわかった…
『幻想と怪奇6』(新紀元社)は「夢境彷徨 種村季弘と夢想の文書館」と題した夢の特集だ。 www.shinkigensha.co.jp 本号には君島慧是の短編「天蓋の彷徨」が掲載されている。特集に相応しく、不眠症の少女が治療のために天蓋のあるベッドで眠る……という話だ…
オーストラリアの The Antipodean SF Radio (豪州のオンラインSF雑誌 Antipodean SF がやっているポッドキャスト)で、拙作てのひら怪談「白桃村」の英訳 White Peach Village (translated by Toshiya Kamei) が朗読されました。ナレーションは Daphne Milne…
スコットランドの掌編と詩のオンラインマガジン Frozen Wavelets #6 (冬/春合併号) が公開され、拙作てのひら怪談「呪いと毒」の英訳 "Curses and Poisons" (translated by Toshiya Kamei)が掲載されました。frozenwavelets.com 今回はダブリンのワールド…
海とコーラ 勝山海百合「兄ちゃん、とめて……」 ヤマグチの腹に響くエンジン音にかき消されながら佐江の声が聞こえたので、路肩にオートバイを止めた。男物の防寒作業着を着た佐江がよろよろと道端に近付いてしゃがんだ。 妹の佐江は海を見たことがなかった。…
諸般の事情で刊行が遅れていた Frozen Wavelets #6 (double issue Winter/Spring) が間もなく出ます。拙作てのひら怪談「呪いと毒」の英訳 "Course and Poison" (translated by Toshiya Kamei)が掲載されます。四月十五日の予定です。(追記。二十九日に延…
Insiginia Stories にToshiya Kamei が寄稿した "Umiyuri Katsuyama, Queen of Tenohira Kaidan" は、日本の怪談を、怪と談の文字の意味を説明するところから始め、近世日本で一世を風靡した怪談芸能に触れ、二十一世紀にインターネット上で開催された「ビー…
Kelly Matsuuraさん(オーストラリア出身)が愛知県からアジアの神話や民話、怪談、SFFを発信する Insignia Stories のWomen in Horror Month特集に、Umiyuri Katsuyama, Queen of Tenohira Kaidanという記事が掲載されています。書いたのは Toshiya Kamei …
十五年ぶりに蘇ったアメリカのオンライマガジン Penumbric Speculative Fiction Magazine Issue 5 に、拙作の英訳Drabble(百ワードの超短編)"The Early-Morning Garden" (translated Toshiya Kamei)が掲載されました。原文はてのひら怪談「朝の庭」です。 …
豪州のオンラインSF誌 Antipodean SF 269に拙作の英訳 "Morning Garden" (translated by Toshiya Kamei) が掲載されました(アーカイブされました)。本号には高山羽根子さんの翻訳も掲載されております。 webarchive.nla.gov.au原文はてのひら怪談「朝の…
昨年、十五年の時を経て再開したPenumbric Speculative Fiction Magazineに、拙作 "The Early-Morning Garden" が掲載されます。Drabbleです。二月の予定です。 https://www.penumbric.com/ホラーのフィクションとコミックの Green Inferno に掌編 "The Guar…
ルーマニアのオンラインSFFマガジンGalaxia42 十二月号に、てのひら怪談「軍馬の帰還」「とりひき」が、いずれもMiloș Dumbraciのルーマニア語訳で掲載されました。Osamu Kaikou の英訳からの重訳です。「軍馬の帰還」 galaxia42.ro 「とりひき」 galaxia42.…
『小説すばる』一月号(集英社)掲載のKamei Toshiyaのエッセイ「日本発インディーSFを世界へ」で、拙作を翻訳した理由に触れられています。翻訳しやすく、投稿しやすいサイズのてのひら怪談が複数あったからでした。(読んで初めて知ったが、そんな気がして…
英国の The Fortnightly Review に拙作の英訳が掲載されました。 Toshiya Kamei による翻訳の "Dragon Rock", "One Last Shriek", "Pure Gold" の三篇です。 fortnightlyreview.co.uk"Dragon Rock" は『竜岩石とただならぬ娘』(MF文庫ダ・ヴィンチ)所収の…
山の人魚 勝山海百合(これは叔父から聞いた話だけれど、叔父はテホ語り、いわゆるほら吹きだったので、眉に唾をつけて聞くように) 人魚というものは山にもいる。しかしどこだりにいるものでもない。山の奥の、水がこんこんと湧き、冬でも凍らないような沢…
雪夜訪戴(雪の夜に友人の戴氏を訪う) 勝山海百合 ご主人様が会稽山の東、山陰にお住まいの頃のことでございます。雪夜でございました。 「たれか、酒を持て」 夜半に呼ばれ、隣室で控えていた私は寝ぼけ眼の侍童を制して、燗酒と肴をお持ちしました。ご主…
てのひら怪談「魚怪」の Toshiya Kamei による英訳 "One Last Splash" が掲載されたHorror Matsuri 2020 (English Edition) Kindle Edition が十一月二十六日発売予定です。 https://www.amazon.co.jp/dp/B08NNYB29Z/www.amazon.co.jp
ななかまど 勝山海百合 地面の深いところから湧き出す熱い湯は、湯船に溜まる頃にはちょうど良くなっている。 目隠しの竹垣から風が通り、裏の山から森の匂いが流れてくる。この宿には年寄りの客が多いせいもあって、夜も更けると外湯まで来る人は少なく、私…
チェコの英語のオンラインマガジンThe Cafe Irreal Issue #76に、拙作の英訳が三篇掲載されました。( translated by Toshiya Kamei ) 「朝の庭(二百四十字版)」"The Early-Morning Garden"、てのひら怪談「魚怪」"Monster Fish"、「人参採り(二百四十字)…
ルーマニアのオンラインマガジン Galaxia 42 十二月号に、てのひら怪談「軍馬の帰還」と「とりひき」がルーマニア語で掲載される予定です。Osamu Kaikou の英訳からの重訳となりますが、ルーマニア語の翻訳者はまだわかりません。 Galaxia 42 には英語の記事…