鳥語花香録

Umiyuri Katsuyama's weblog

講演会補遺

東雅夫講演会について書きながら「忘れられた幻想文学の作品を発掘する」という講演のテーマに触れるのを忘れていたので補う。東雅夫発言の大意は以下(例によって記憶で書いているので、参考程度に)。


”アンソロジーは、忘れられた幻想文学作品、作家を知らしめる手段として優れていると思います。ちくま文庫で毎年夏に出している『文豪怪談傑作選』は、有名な作家の知られざる怪異譚をからめたもので、『文豪怪談』の一冊目は川端康成でしたが、女の人の片腕を拾って持って行く「片腕」が面白い。川端は心霊(神霊)の世界にずっと興味を持っていましたが、室生犀星も怪奇幻想の世界にのめり込んでいたことが、アンソロジーを編んでいて浮き彫りになりました。文豪ではありますが、そういう意味では幻想文学の作品を発掘すると言えるかも知れません。
一部の人には知られているものの、作品集が手に入らないために幻の作家扱いだった平山蘆江。この人は『都新聞』で花柳演芸欄を担当していた新聞記者で、歴史小説も書く人。大正の怪談ブームの中心にいて、鏡花なんかと一緒に百物語会とかに出ていたんです。この人が書いた『蘆江怪談集』、長年捜していたのですがなかなか見つからず、たまたま最近になって入手できて喜んでいたところ、ウェッジ文庫の編集さんから、『蘆江怪談集』持ってませんかとのお尋ねがあり、ちょうど手に入れたところですと答えたため、このたびの『蘆江怪談集』刊行の運びとなった次第です。このタイミングで手に入り、連絡がくるというところに、何か引き寄せる力、引き寄せられる力のようなものを感じます。”


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ちなみに、平山瑞穂(第十六回日本ファンタジーノベル大賞受賞)は、蘆江の曾孫。

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全世界のデボラ (想像力の文学)

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