鳥語花香録

Umiyuri Katsuyama's weblog

A Flurry of Ashes / 風塵

  風塵 Toshiya Kamei  勝山海百合訳

 刑吏(けいり)がわたくしを押さえつけて、別の一人が赤く焼けた鉄を額に押し当てる。意識を失うまで身をよじらせ、叫び声をあげる。
 
 自分の悲鳴で目が覚める。獄卒が牢獄からわたくしを引きずり出し、儒者と学者でいっぱいの荷車に積み込んだ。わたくしたちの怯えた視線は絡み合い、逸らされる。荷車がごとごと動き出す、書物を焚く炎がわたくしたちを後ろから照らす。灰は秋風に舞い、失われた知識をそそくさと悼む。荒れ野に着くと、槍で追い立てられ、わたくしたちは坑(あな)を掘る。自身の墓を。


原文"A Flurry of Ashes"はBending Genresに掲載。(カメイさんの許可を得て公開)
焚書坑儒(ふんしょこうじゅ)
秦の始皇帝が、実用書以外の書物を焼き、儒者や学者を生き埋めにした故事。
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