鳥語花香録

Umiyuri Katsuyama's weblog

幻想と怪奇6

『幻想と怪奇6』(新紀元社)は「夢境彷徨 種村季弘と夢想の文書館」と題した夢の特集だ。
www.shinkigensha.co.jp
本号には君島慧是の短編「天蓋の彷徨」が掲載されている。特集に相応しく、不眠症の少女が治療のために天蓋のあるベッドで眠る……という話だ。
ところで、君島慧是とわたしはかつて「てのひら怪談」(八百字の怪談)でしのぎを削った仲だ。同じコンテストに投稿していたという意味では他にも作家は大勢いるが、君島は当時から実力派として知られていたと思う。十年以上前のことだ。
作風は鬼面人を驚かすというより、読んでいるうちに恐怖が募ったりするタイプの怪談の書き手で、描写は端正で、読み心地は幻想文学近かった。
てのひら怪談」以外の場所では目にすることが少ないのが残念だったので、本誌に掲載されて嬉しい。

f:id:umiyuri:20210521155649j:plain
『幻想と怪奇』とドーナツ