鳥語花香録

Umiyuri Katsuyama's weblog

ファン交一月例会

 渋谷で行われたSFファン交流会一月例会に参加する。今回のテーマは「二○○八年SF回顧(国内編)」、ゲストは森下一仁日下三蔵の予定だったが、日下氏は風邪でダウンし、代わりに山岸真大森望が来場。
去年は長編の大作が多く上梓され、他の年に出たなら話題になっただろう作品があまり話題にならなかったとのこと。山岸氏が「他のジャンルでキャリアを積んだSF読者でもある作家が、満を持していよいよSFを書いた場合、昔の自分が好きなSFのように書いてしまうので”懐かしいSF”になってしまう、今はSFも進んでいるので、その辺も更新して欲しい(大意)」と言っていて、わかる気がした。あとから来た大森氏も、ある大作に登場する宇宙論のセンスが古いのでどうかと思ったというようなことを言っており、二人から似たような意見が出たのが興味深い。
暮れに出たばかりだが『ハーモニー』(ハヤカワJコレクション)は傑作という意見が多く、山岸氏は「これがSF大賞を獲らなかったら、SF作家クラブを辞める」とまで言っていた。『ハーモニー』は表紙も含めて気になっていたので近いうちに読もう。
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ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

 会場で配られた二〇〇八年のSF出版物リストに『竜岩石とただならぬ娘』が載っていなかった。幽文庫(MF文庫ダ・ヴィンチの、怪談系の通称)は載っていないのだと思っていたら、『虹色の童話』『マリオのUFO』は載っていた。文庫ではないが『遊郭(さと)のはなし』『あちん』も、角川ホラー文庫『トンコ』『生き屏風』、ポプラ社の『てのひら怪談』も載っていた。
ショックだったが、「リストには抜けがあるものです」と慰められ、興味深い話を聞けたうえに山岸さんにグレッグ・イーガンの『TAP』(山岸真・編訳、奇想コレクション)をもらったので、トータルでは良かった一日だった。例会のあとで大森さんに田辺青蛙がお世話になっております、知り合いなんですと挨拶する。
久し振りの参加だったので、友人知人の顔を見て、近況を聞くことが出来て良かった。自分が好きで得手な分野で活躍していて何より。SFを書けと言われて『SFマガジン』から依頼があれば書くと断言したものの、直後に「依頼があっても書く自信がない」と弱気になる。
ところで、フレッシュネスバーガーのマドラー、Start writing a novel. は現在三本持っている。
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TAP (奇想コレクション)

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