鳥語花香録

Umiyuri Katsuyama's weblog

水稲、葉タバコ、ホップ

次号『幽』の特集は「怪談遠野物語」で、遠野物語にちなんだ掌編の依頼があったからというわけではないが、先日、岩手県遠野市に行ってきた。
遠野の中心を流れる猿ヶ石川の両岸に広がる水田は田植えの最中で、植えられたばかりの早苗が水に浸かって頼りなげに揺れており、八重桜は満開を過ぎて盛んに花びらを散らしていた。水稲以外では、葉たばことホップが栽培されているのが目に付いた。どちらもまだ丈が低かった。
遠野に行ったと言っても、古老に取材とか、カッパ淵で河童釣り、心霊スポット探訪はせず、道の駅に寄って買い物をしたり鯛焼きを食べてきた程度。道の駅(遠野 風の丘)の鯛焼きは最近の流行の薄皮で、バリの部分がパリパリして南部煎餅みたいだった。外のテントで、餅つきが始まるところにちょうど通りかかったら、杵でつくまえの蒸かした餅米を、「おいしいから食べて、おいしいよ」と配っていた。一口食べたが、味付けなしの、蒸しただけの餅米が甘くて美味しかった。
遠野のご当地キティの一つ、遠野かっぱキティ(黄緑色の河童のキティが、どぶろくの瓶に入ったもの。遠野市は日本で最初に認定されたどぶろく特区)の、一メートルくらいある大きいのものが置いてあった。あんまり大きいので可笑しかった。
小島功ヒゲとボイン)のお色気河童娘便せんと封筒を買った。

柳田国男の『遠野物語』といえば、柳田に遠野の昔語りをした佐々木喜善を抜きには語れない。その佐々木が主人公の、長尾宇迦の「幽霊記―小説・佐々木喜善」は、ちょっと駆け足のきらいがあるものの、佐々木の人となりがよく描かれているように思う。

遠野絡みのぞっとした話。
去年の秋、遠野でカボチャを買った。冬至に煮ようと二つに割ったら、タネと一緒に虫のサナギがいっぱい入っていた。