高山さんとかつとんさんの結婚を祝う会で、初めての単行本を上梓したばかりの宮内悠介さんにお目に掛かったので、こんなこともあろうかと持参していた『盤上の夜』にサインをしてもらった。
祝う会に参加した人のお土産は、高山羽根子さんの書き出しを十七人が書き継いだリレー小説本『走れ急げ言葉』。表紙は新婦の筆。
「走れ急げ言葉」には私も参加していて、文中に高山羽根子の五文字を織り込んだ……つもりが、推敲中に自分に課したルールを忘れて一文字抜けた。ちなみに下記、物語のおしまいにあたる部分。桃の実が登場するのは吉祥の表現。
地の果てにある高い山に、一本の桃の大樹が生えている。根は地表で盛り上がり、薄紅色の花が咲く枝は絡み合って森のようになっていた。その枝では七色の尾長の鳥が妙なる調べをさえずり、あるいは羽を休めていた。
大樹にはことさら大きな実が一つ成っていた。
もしあなたが近づくことが出来るなら、柔らかな産毛のはえた果実の中で、人間の赤ん坊が目を閉じ、体を丸めているのが透けて見えるだろう。
- 作者: 宮内悠介
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2012/03/22
- メディア: 単行本
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