過日、王羲之(中国、東晋の書家)の尺牘(信書)の、唐時代の写しが新発見されたという報道があった。「(便)大報期転呈也」で始まっているので『大報帖』と名付けられたそうだ。「大のことは期が報らせてくれました」で始まる手紙。大は親戚の王穭(おうしょう、字は敬倫、小字は大奴)のことで、期は王羲之の息子の一人(王羲之の息子は七人で、いずれも同じ母親から産まれている)の王延期のことだとある。しかし延期が誰かとっさにわからない。五男の王徽之(おうきし。字は子猶)だろうかと想像しつつ調べたら、六男の王操之(おうそうし。字は子重)だった。王操之に延期という名というか字(あざな)もあることを恥ずかしながら初めて知った次第である。そしてこの時期に報道されたことから想像されるように、二十二日から開催される東京国立博物館の特別展「書聖 王羲之」で『大報帖』が公開されるそうだ。
王羲之の息子は全員書に秀でていたが、王操之は草書と隷書に巧みだったと言われている。腋にできものが出来て困ったことがあり、薬を飲んで治った。
追記。王羲之展を観に行ったが、「大報帖」の展示でも期については「王羲之の親族」としか表記されていなかった。息子というのは勘違いかも知れない。
追記二。図録には「息子の一人」とあった。
追記三。東京国立博物館のブログの、二月八日のエントリにはこうあった。
期は王羲之の兄である王籍之の息子・王延期と推測されます。王羲之は兄の王籍之が亡くなったあと、王延期を自分の息子として育てていました。
投稿したのは富田淳(列品管理課長)
(王羲之の息子、王徽之が登場する「竹園」は拙著『竜岩石とただならぬ娘』所収。)
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