鳥語花香録

Umiyuri Katsuyama's weblog

支倉常長像

東京国立博物館本館7室(二階)で開催中の「支倉常長像と南蛮美術 ―400年前の日欧交流―」という展示を見た。
展示品は二点の屏風と一点の油彩。その一点の油彩画は、慶長十八(一六一三)年に仙台藩伊達政宗の命で遣欧使節団代表として仙台藩の港(現在の宮城県石巻市の月ノ浦…と言われている)から、帆船サン・ファン・バウティスタ号で太平洋と大西洋を渡ってローマに辿り着いた男、支倉常長の立ち姿を描いている。ほぼ等身大。画家はアルキータ・リッチ。描かせたのはボルゲーゼ枢機卿
支倉は慶長二十(一六一五)年にローマ教皇パウロ五世に謁見した際の、光沢のある白地(おそらく絹、繻子か)の揃いの胴服(羽織)に小袖、袴。腰には刀二本差しの盛装で描かれる。袴と小袖には薄の、胴服には鹿の刺繍が施されている。伊達政宗に下賜された衣裳とも言われるが、さもありなん。和服の下に西洋のシャツを着ているので襟や袖口からレースがちらりと覗いており、そんなところも洒落ている。
不思議な感じがしたのが足で、草履をはいているが指や爪まで描いてあり、足の甲に唐草模様がある。染料で足に模様を描いたのかと思っていたら、欧州で入手した唐草模様のある透けた布でこさえた足袋を履いているのだとか。見たまま、写実的に描いたリッチだが、足袋の構造がよくわからなくて、立体感のない表現になってしまったのかも知れない。
足下にいる、金の首輪をした耳が垂れた黒い犬が可愛い。
観覧者にスペイン語を話す人が多いような気がした。
三月二十三日まで。総合文化展観覧料で観覧出来る。

画像は中庭。芝生に雪が積もっていた。
敷地内には雪で枝が折れた木も多かったが、スダジイは幹が折れていた。