鳥語花香録

Umiyuri Katsuyama's weblog

イット・フォローズ

先日観たデヴィッド・ロバート・ミッチェル監督の『イット・フォローズ』は、デトロイト郊外を舞台に、若い女性ジェイ(マイカ・モンロー)が姿を変えながらじわじわと歩いて追いかけてくる怪異に命を脅かされ、恐怖し、消耗するホラー映画だった。
正体のわからないなにかに標的にされ、捕まると死ぬという単純で厳しいルールが徹底した怖い映画だったが、あとから、あれはこういう意味だったろうかと考えたり(登場人物の一人が八十年代のファッションに身を包んでいたり、登場するのがアメリカの車ばかりなこと)、ふと怖い場面を思い返して、また怖くなったりした。
物語に直接関係しないが、主人公の友人ヤラ(オリヴィア・ルッカルディ。ブルネットでメガネ、笑わない)が持っている電書リーダーは二枚貝の形。画面が見づらそうなものの可愛らしく、人魚姫(ディズニー・プリンセスのほう)の持ち物みたいだった。最初にそのグッズが登場する直前、ジェイは自宅の組み立て式プールで長い金髪を濡らしながら、人魚のように水と戯れていた。プールから上がり、タオルを体に巻いて家の居間に入ると、妹と友人たちが古い映画を見ているが、ヤラは電書を読んでいる。ジェイが「なに読んでるの?」と聞くと、ヤラは答える「『白痴』」