鳥語花香録

Umiyuri Katsuyama's weblog

宇宙の塵

SF同人誌「宇宙塵」の主宰で、小隅黎(こずみれい)の筆名でSF小説の翻訳・創作をしていた柴野拓美氏が一月十六日に亡くなった。ご冥福をお祈りします。
柴野さんに最後にお目にかかったのは、二〇〇七年に横浜で開催された世界SF大会日本SF大会と共同開催)でだった。柴野さんはゲスト・オブ・オナーで、壇上でのスピーチは立ってなされたが会場内の移動は車椅子、世界中のSFファンが挨拶に来て引きも切らないのを端で見ていて、お疲れではないかと心配したものだった。

柴野さんつながりで「宇宙塵」にまつわる思い出を一つ。
ずっとまえ、「宇宙塵」と関係のある人と話しをしていて「宇宙塵」本誌に作品を掲載してもらうにはどうしたらいいかという話になった。掲載されるためには何度も書き直しを求められ、力尽きて掲載に至らない同人もいると聞いていたので、秀作を書く以外に何か手段があるのかと耳を傾けた。
「ファンタジーを書けばいいんだよ」とその人は言った。「柴野さん、ファンタジーはわかんないって言ってるから、そのまま載せてくれるよ」
冗談で、担がれただけかも知れないが、その手があるのかと思った。
宇宙塵に入会していなかったので、そもそも掲載資格がないのだけれど。