鳥語花香録

Umiyuri Katsuyama's weblog

けいらんと元宵

サライ』二月号の大特集が「『遠野物語』を旅する」で、『遠野物語』そのものと岩手県遠野市を紹介している。『幽』十一号の『遠野物語』特集の、現代の遠野郷に残る民話の息遣いや怪異の痕跡を感じるような切り口とは異なっていて、雑誌が違うと同じ場所も違って見えるものだと新鮮に感じた。
ところで、遠野の郷土料理に「けいらん」がある。米粉を練った皮であんこを包んで茹でたもので、存在は知っていても食べたことはなかったが、『サライ』で紹介されていた写真を見ていたら、名前がずいぶん違うが中国で元宵節(げんしょうせつ、旧一月十五日)に欠かせない湯団(湯圓、湯丸ともいうし、元宵ともいう)にそっくりなことに気が付いた。『遠野物語』にも収められた「おしらさま」の話が、東晋の干宝が著した『捜神記』にある馬頭娘の話とそっくりなことを考えれば、けいらんと元宵が似ていても不思議はない。
ちなみに今年の元宵節は二月二十八日。

捜神記 (東洋文庫 (10))

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