鳥語花香録

Umiyuri Katsuyama's weblog

はヤぶさ

今年の四月馬鹿のネタで一番心が動かされたものは、小惑星探査機「はヤぶさ」が知能をもったかもしれないという記事だった。

【2010年4月1日 JyAXA】

JyAXAの小惑星探査機「はヤぶさ」から「なう」などの「つぶやき」が送信されていることが判明した。「はヤぶさ」のコンピュータが原始的な知能を持ち始めた可能性がある。(後略)

http://www.astroarts.co.jp/special/aprilfool/2010/01hayabusa/

「はヤぶさ」が呟くのは「なう」「さむい」「あつい」「たいよう」「ちきゅう」の五つ――もちろん冗談記事で、「はやぶさ」はあっても「はヤぶさ」は存在しないし、ということは「なう」と宇宙からつぶやくコンピュータもないということなのだが、理性ではわかっていても、言葉を覚えたばかりの幼児が、少ない語彙で自分のことを語ろうとするようで、愛しく感じられる。この宇宙のどこにも実在しない、しかも機械なのに、遠いところに一人でお遣いに行って、満身創痍で戻ってくる”誰か”をイメージしてしまう。知能くらい持ってもおかしくないと感じてしまう。
理性と判断力の隙間、心の揺らぎで生成される幻像。
今年の六月に地球に帰還するとき、「はやぶさ」(実体)は、サンプル回収用カプセルを投下して燃え尽きる。もしその時、つぶやきが送信されたら……「ちきゅう」「あつい」「ちきゅう」「なう」「n