鳥語花香録

Umiyuri Katsuyama's weblog

新潮社クラブ

日本ファンタジーノベル大賞を受賞したら、新潮社にお招きされた。優秀賞の日野俊太郎さんもお見えで、親しくお話しをさせてもらった。好青年であった。大勢の方にご挨拶をしたり誓約書にサインしたり、選考経過を聞いたり、写真を撮られたり、いろいろした。夕食をご馳走してくれると仰るが、まだ時間があるということで、夏休みの小学生のように社内見学をさせてもらった。モダンな昭和の薫りがする社内は、節電中で廊下が暗かった。
最後に、作家が缶詰になったり、対談したりする新潮社クラブを見せてもらった。たまたま利用者がないので叶ったことだった。ここは幽霊が出るということで知られていて、以前に編集者のKさんに、クラブって出るんですよね? と聞いたところ、「出ます」と即答されたことがある。「私は見てませんが」
一階は窓から庭が見えるゆったりした和室が一つ、二階は広い洋室が一つ。原稿も捗りそうなところだったが、ここで百物語をしたら良いかもと思った。二階の押し入れの襖に手を掛けようとして、白い腕がにゅーっと伸びてくるのを予感して、手が止まった。恐がりなもので。