鳥語花香録

Umiyuri Katsuyama's weblog

美しい小籠包

台湾が本店の鼎泰豊(ディンタイフォン。小籠包で知られている。小籠包は小麦粉を練って作った薄い皮で挽肉の餡を包んで蒸したもの。皮の中に挽肉と一緒にスープも入っているのが基本だが、蟹味噌や甘い小豆餡のものある)という店がある。何年かまえに世界で何番目かにおいしいといわれ、日本にもいくつか支店があるので、「台北の本店が最高」「味が落ちた」「日本の支店はだめ」「行列してまで食べるほどではない」などなど、食べたことがある人はなにか言いたくなる。個人的な感想を言えば、台湾の鼎泰豊でも日本の鼎泰豊でも食べたことがあるが、舌が貧しいせいかどこで食べても失敗したと思ったことはないし、ときどきは並んで待っても食べる。
上海の豫園(世界遺産の中国庭園)そばの豫園商城(商店街)に、南翔饅頭店という小籠包の有名店がある。その有名店から遠くない場所に鼎泰豊が出店したときは、ちょっと驚いたものだった。現在は上海市内に数店舗ある。
前置きが長くなったが、先日初めて上海の鼎泰豊に入った。午後二時頃だったと思う。席に案内されると台湾や日本の鼎泰豊だったらすぐに出てくるサービスのお茶が出ない。メニューを見てプーアール茶を注文する。
値段は中国の物価からいうと高めで、高級店なのだとわかった。
小籠包と空芯菜の炒めもの、肉入りのちまきを注文したが、どんなものが出てくるかと思ったら、美しい小籠包がやってきた。皮はたいへん薄く、花びらのように寄せられた襞は細かく均一だった。中のスープの透け具合ときたら、台湾の小籠包が水入りの瑪瑙だとしたら、上海の小籠包は、瑪瑙の水の中で泳ぐ魚が見えるようなものだった。味の方向性は、わたしが食べたことのある鼎泰豊の小籠包と一緒だが、もっと雑味がなく、すっきりしていた。
感心しているうちに小籠包は食べ終わったが、ちまきがなかなか出てこなかった。お茶を飲みながら待っていると、笹の葉だか月桃の葉を剥かれれたちまきが白い皿にのせられて出された。裸でごろり。寒そうだった(十%のサービス料を払うのだから、ちまきを包んでいる葉を除くのは当然かも知れないが大きなお世話のような気もした)。