鳥語花香録

Umiyuri Katsuyama's weblog

予祝

拙訳「まもなく」を公開した。二百数十文字なのでご一読いただきたい。

umiyulilium.hatenablog.com

"Soon" はToshiya Kamei のごく短い物語で、COVID-19の蔓延でホリデーシーズンにも帰省できず、通帳の残高は減っていくのに生活費はかかって先が見えない進行形の現在を舞台にしている。
ラストの部分はさまざまに解釈できた。最初、声の主は主人公の命を奪いに来たのだと思った。この生活を終わらせてやるよというわけだ。もしかすると神仏的な存在が現れて奇跡をおこなう。あるいは、まばゆい光がさして、主人公の家にATF(アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局)かFDAアメリカ麻薬取締局)が踏み込んできたとか。ストレスで精神に異常をきたしたのかも……。

先週、一月二十日にアメリカ合衆国ジョー・バイデンが大統領に就任した。新大統領はさまざまなことに手を付けたが、そのなかに国民一人あたり二千ドルを支給するというものがあった。これで減るばかりだった主人公の通帳の残高は増え、懸念の一つが一時的にだが解消すると思ったとき、この物語を書くことはToshiya Kameiなりの「予祝」の意味があったのではないかと考えた。よい方向に社会が動いて欲しいという祈りだ。そして早くも一部はかなえられた。