鳥語花香録

Umiyuri Katsuyama's weblog

Army of Darkness / 古戦場

  古戦場 Toshiya Kamei 勝山海百合訳

 煙の中で火の粉がちらちらと舞う。馬の蹄の音、鬨(とき)の声、甲冑の触れ合う音が大きくなる。
「反乱軍だ!」夜の闇の中、ワン将軍とその兵は迫りくる攻撃にそなえた。
 将軍は兵とともに炎に近づいた。凄まじい叫び声が夜気を貫く。剣と剣がぶつかる音。ワン将軍は死の匂いを嗅いだ。すると突然火花が限りなく降り注ぎ、兵士の甲冑と馬のたてがみを焦がした。慌てふためいた一同は、一目散に退却することとあいなった。
 明くる朝、ワン将軍一行がそこに戻ってみたところ、火の気はまるでなかった。ただ、数多のしゃれこうべが黒く焦げた地面に散らばっているだけだった。


原文 "Army of Darkness" は Mythical Beings of Asia (Insignia Stories) 所収。(カメイさんの許可を得て掲載してます)
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