鳥語花香録

Umiyuri Katsuyama's weblog

『軍馬の戦争』(追記あり)

書店で気になって手に取った、土井全二郎『軍馬の戦争 戦場を駆けた日本軍馬と兵士の物語』(光人社)、第七章は「軍馬「勝山号」の帰還」だった。岩手県で昭和八(一九三三)年に生まれた勝山号は、中国大陸に出征して日本に戻ってきた数少ない軍馬のうちでも、自分の家(というか、元の飼い主のもと)に生きて帰ったまれな一頭。昭和十二年に徴発されて以来、大陸で多くの将校の乗馬として活躍、自らも何度も重傷を負う。軍馬甲功章受章。昭和十五年には内地に帰還していたが、太平洋戦争集結後の十月、元の飼い主である岩手の伊藤家に帰ることになり、神奈川溝の口から国鉄神奈川駅まで十時間歩いて貨車に乗車、四泊五日かけて国鉄水沢駅へ。駅からは歩いて岩谷堂の伊藤家に帰った。岩手ではかつてのように農耕に従事していたが、終戦から二年後の昭和二十二年六月、中国で被弾して体内に残っていた砲弾の破片による神経障害で死亡する。勝山号は軍がつけた名で、もとは第三ランタンタン号、通称は「ランタン」だった。

軍馬の戦争―戦場を駆けた日本軍馬と兵士の物語

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追記
知らない人も多いと思うので説明すると、以前「軍馬の帰還」という、軍馬が登場する掌編を書いたことがある。そのせいか、軍馬は気になる。
「軍馬の帰還」は『てのひら怪談 ビーケーワン怪談大賞傑作選』(ポプラ社)、『てのひら怪談 ビーケーワン怪談大賞傑作選』(ポプラ文庫)収載。
([か]2-1)てのひら怪談 (ポプラ文庫)

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