鳥語花香録

Umiyuri Katsuyama's weblog

真葛菊(まくずぎく)

愛知県大府市に行った。おおぶ文化交流の杜図書館で、地元にお住まいで『江戸女流文学の発見 光ある身こそくるしき思ひなれ』『江馬細香 化政期の女流詩人』『わが真葛物語 江戸の女流思索者探訪』など、江戸の女性作家についての著作がある作家の門玲子氏の拝眉の機を得るためであった。

江戸女流文学の発見―光ある身こそくるしき思ひなれ

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江馬細香―化政期の女流詩人

江馬細香―化政期の女流詩人

わが真葛物語―江戸の女流思索者探訪

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来春荒蝦夷から上梓される只野真葛の「奥州ばなし」現代語訳本の巻末に、只野真葛についても詳しい門さんとわたしの対談を収録するための面会である。
今回の段取りを付けた荒蝦夷の土方代表は門さんと面識があるが、わたしは門さんの著作に触れてはいるもののまるきりの初対面。前日午前中は大変緊張した。緊張も長くは続かず、午後になると名古屋できしめんを食べることを思いついて楽しくなってきたが。
それはともかく、門さんはこの図書館の常連で、読書会などもしばしばなさっているそうで、文学仲間の女性四人といらっしゃった。その中のお一人が、庭から小さな野菊を摘んできてつくえに飾って下さった。今年の最後の一輪というその薄紫の花は真葛菊。

以前、真葛の足跡を辿って仙台を訪れたときに、仙台市の荒浜で繁茂していた真葛菊を持ち帰って自宅の庭に移植したものの末裔だという。津波被害で、家も木も草も波に根こそぎさらわれてしまった荒浜の一部が愛知県で生きていたことにちょっと驚く。(仙台時代の真葛には、早起きして弁当を作り、荒浜に遊んだという紀行文がある)
土方さんによると、この真葛菊を分けてもらって、荒浜に戻す計画があるそうだ。
対談は、汗をかきつつ、土方さんに交通整理をしてもらいながら終了した。途中、話しながら、(これ、門さんの本に書いてあった……)と自分の知識の出所を前にして恥ずかしくなったりした。
門さんは打てば響くような才人であった。
愛知県に向かう車中で、門さんの最新刊『幕末の女医、松岡小鶴 1806−73 柳田国男の祖母の生涯とその作品 西尾市岩瀬文庫蔵『小鶴女史詩稿』全訳』を読んでいた。冒頭は柳田国男の祖母で、漢詩を物する医師であった松岡小鶴(まつおかこつる)の評伝で、たいへん面白かった。柳田国男が生まれたときにはすでに故人ではあったが、幼い柳田を物心両面で支えた長兄の松岡鼎には優しい祖母だったらしい。幕末の女医、松岡小鶴 1806−73 柳田国男の祖母の生涯とその作品 西尾市岩瀬文庫蔵『小鶴女史詩稿』全訳の通販/松岡 小鶴/門 玲子 - 紙の本:honto本の通販ストア