鳥語花香録

Umiyuri Katsuyama's weblog

Dream Date / 仕事のあとに

  仕事のあとに  Toshiya Kamei  勝山海百合訳

 雲一つない、晴れた空が広がっていた。屋上庭園では果物と野菜がたわわに実っている。私はタクシーに乗り込む。高層ビルの間の見えない通路を私たちは飛行していく。
 自分のデスクに到着すると、近くの席の同僚のゼビラが顔を上げた。
「アントニア」彼女はそう言って微笑んだ。「週末はいかがお過ごしでした?」彼女は髪の毛を反対側に無造作に流した。彼女の清潔な、石鹸のような香りが鼻孔をくすぐる。
「まあまあってとこかな」私は答えながら頬が熱くなる。「そっちは?」
「まあまあでした」自分の仕事に戻る前に彼女は言った。
 何週間かまえ、彼女の故郷の星には男性がいないのだと話してくれた。
「ゼビラ、仕事が終わったら、軽く食べたりしない?」



原文の "Dream Date"はボスニアの英語文芸誌 Slippage Lit に掲載。(カメイさんの許可を得て公開)
www.slippagelit.com