鳥語花香録

Umiyuri Katsuyama's weblog

空港で

緒形拳を見たことがある。羽田空港で、誰かを待っているらしく、すっと立っていた。背が高く、きれいに刈られた白髪で、レンズに色のついた眼鏡をかけていた。本藍染めのシャツに裂き織のベストを着ていた気がする。ずいぶん背が高い人だと思った。しばらくすると紺色のスーツを着た人が近づき、「お待たせしました」と声を掛けると二人で去っていった。
緒形拳が亡くなってから公式プロフィールを読んだら、身長173cmとあった。低くはないが、目立つほど高いということもないのが意外だった。

空港で、中年の日本人男性だが、指輪を三つもしている人がいた。そうとうお洒落な人だと思っていたら、連れに「あの人、”不倫は文化”の人じゃない?」と言われた。確信が持てなかったが、素足に靴を履いているならそうだろうと思って確認するチャンスをうかがっていたら、脚を組んだので足下が見えた。白い柔らかそうな革靴を履いた足に靴下はなかった。