鳥語花香録

Umiyuri Katsuyama's weblog

Sudden Storm / 霹靂(へきれき)

   霹靂  Toshiya Kamei  勝山海百合訳

 小麟(シャオリン)はその女たちがここにいてはいけないと知っていたが、彼女たちにも見えるように桃色の巻貝の殻を差し出した。渓谷の昼下がりの空気を通して太陽が眩しく輝き、ゆっくりとした川の流れが彼女の足を優しく撫ぜる。
 女たちが彼女を祝福するため、水を跳ね上げながら駆け寄った。
 突然ひんやりした風が吹き、彼女の顔を叩いた。陽光が闇に道を譲る。頭上を雷鳴が駆け抜け、稲光が空を引き裂いた。女たちはまろぶように川を出て、低い木の枝が作る天蓋で雨宿りをした。
 太陽が再び顔を出すと女たちは目を疑い、息を飲んだ。小麟は石になっていた。


原文”Sudden Storm” はTrembling With Fear 掲載。(カメイさんの許可を得て公開)
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