鳥語花香録

Umiyuri Katsuyama's weblog

読み書き

創られた心 AIロボットSF傑作選

ジョナサン・ストラーン編『創られた心 AIロボットSF傑作選』(佐田千織他訳、創元SF文庫)をご恵送いただいた。ありがとうございます。 ロボット、AI、オートマトン、アンドロイド……「ヒトに創られしモノ」をテーマとした、ケン・リュウ、ピーター・…

ゆきあってしあさって

高山羽根子・酉島伝法・倉田タカシの共著『旅書簡集 ゆきあってしあさって』(東京創元社)をご恵送いただいた。ありがとうございます。 ●岸本佐知子推薦 「ひとつ手紙を開くたびに、心は地上のはるか彼方に飛ばされる。 手紙を受け取るということは、もうそ…

小梅さんのかんざし

小梅さんのかんざし 勝山海百合 お部屋にご案内します。こちらです。 飾り戸の中のかんざし?……ああ、それですか。孔雀石です。昔、まだ鉱山(ヤマ)から銅や亜鉛が採れていたときに一緒に出たんです。絵の具にしたり、磨いて根付けや帯留、かんざしの玉に………

未踏の蒼穹

ジェイムズ・P・ホーガン『未踏の蒼穹』(内田昌之訳、創元SF文庫)をご恵送いただいた。ありがとうございます。www.tsogen.co.jp

影絵の街にて

新井素子『影絵の街にて』(日下三蔵編、竹書房文庫)をご恵送いただいた。ありがとうございます。 不思議に、ぎゅっと、掴まれる「センチメンタル・ジャーニイ」、〈チグリスとユーフラテス〉外伝などの未収録作と初文庫化作を中心とした短篇集。 www.takes…

山の王

山の王 勝山海百合 あれに銃口を向けたのは、山に入る前にナオにあれの毛皮をねだられたからだ。 (獲ってきたら、あんたと所帯を持ってもいいよ) 犬を連れ、銃弾と食料を持って雪の山に入ると、面白いように獲物が目の前に現れた。猟の成果は充分で、もう…

ロボットには尻尾がない

ヘンリー・カットナー『ロボットには尻尾がない〈ギャロウェイ・ギャラガー〉シリーズ短篇集』(山田順子訳、竹書房文庫)をご恵送いただいた。ありがとうございます。 ギャロウェイ・ギャラガーは天才科学者である。だが、彼はただの天才ではない。酔っぱら…

SFマンガ傑作選

福井健太編『SFマンガ傑作選』(創元SF文庫)をご恵送いただいた。ありがとうございます。www.tsogen.co.jp

Best of Penumbric Speculative Fiction Mag

拙作の英訳("The Early-Morning Garden" translated by Toshiya Kamei)が一作だけ入ったPenumbric Speculative Fiction Magazineの既刊六号の合本 "Best of Penumbric Speculative Fiction Mag, vol iv: June 2k20 to April 2k21" のデータをいただいた。…

シェリィ・カメイの紹介

(イラストは大谷津竜介 / illustrated by Ryusuke Ohyatsu) 『すばる』十二月号(十一月六日発売、集英社)に「鶴の女たち」Blood in the Thread が拙訳で掲載されるシェリィ・カメイ Cheri Kamei は、ハワイに住むアジア系アメリカ人の女性作家。アメリカ…

BFCオープンマイク「ネックピロー」

ブンゲイファイトクラブオープンマイクに投稿し、掲載されました。 113「ネックピロー」です。エッセイ的な短文です。 note.com(008「純金」は去年の投稿です)

紙魚の手帖 創刊号

東京創元社の新雑誌『紙魚の手帖』vol.01をご恵送いただいた。ありがとうございます。隔月偶数月刊行の総合文芸誌。 「ミステリーズ!」の後継誌ついに創刊。コンセプトは、国内外のミステリ、SF、ファンタジイ、ホラーを刊行してきた東京創元社による「総合…

『サワー・ハート』

ジェニー・ザンを知ったのは『文藝』二〇二〇年春季号に載っていたエッセイ「存在は無視するくせに、私たちのふりをする彼ら」(小澤身和子訳)でだ。ザンは中国系アメリカ人の詩人、小説家。冒頭で、アイオワ・ライターズ・ワークショップの大学院生だった…

ネットワーク・エフェクト

マーサ・ウェルズ『マーダボット・ダイアリー ネットワーク・エフェクト』(中原尚哉訳、創元SF文庫)をご恵送いただいた。ありがとうございます。 一人称が「弊機」の警備ロボットが主人公で、第七回日本翻訳大賞を受賞した『マーダーボット・ダイアリー…

Army of Darkness / 古戦場

古戦場 Toshiya Kamei 勝山海百合訳 煙の中で火の粉がちらちらと舞う。馬の蹄の音、鬨(とき)の声、甲冑の触れ合う音が大きくなる。 「反乱軍だ!」夜の闇の中、ワン将軍とその兵は迫りくる攻撃にそなえた。 将軍は兵とともに炎に近づいた。凄まじい叫び声…

汝窯と古伊万里

汝窯と古伊万里 勝山海百合 去年の暮れ、中之島の大阪市立東洋陶磁美術館で汝窯の水仙盆をじっくり眺めた帰り、なにわ橋駅の券売機前に戸惑う様子の男性がいたので声をかけた。灰色のギャバジンのコートを着た三十歳くらいの人で、聞けば堂島に行きたいとの…

レイヴンの奸計

ユーン・ハ・リーの『レイヴンの奸計』(赤尾秀子訳、創元SF文庫)をご恵送いただいた。ありがとうございます。『ナインフォックスの逆襲』続編。www.tsogen.co.jp

不死身の戦艦 銀河連邦SF傑作選

J・J・アダムズ編『不死身の戦艦 銀河連邦SF傑作選』(佐田千織 他訳、創元SF文庫)をご恵送いただいた。ありがとうございます。 オリジナルの二十三作から、厳選された十六作を収録。www.tsogen.co.jp

The Price of Greed / 強欲の代償

強欲の代償 Toshiya Kamei 勝山海百合訳 トルコ石が額で緑色に輝く。針の如き牙の後ろから三叉の舌がちらちらと覗いている。おれはシャムシールの柄を握りしめ、歯を食いしばる。その鱗に覆われた体の後ろには宝箱がある。半開きの蓋からはきらめく宝石がこ…

夕暮れの草の冠

西崎憲編『kaze no tanbun 夕暮れの草の冠』(柏書房)をご恵送いただいた。ありがとうございます。 『特別ではない一日』『移動図書館の子供たち』に続く、kaze no tanbun シリーズ第三弾。十七人の文章家による十八の短文が収められている。 www.kashiwash…

猫の街から世界を夢見る

キジ・ジョンスンの『猫の街から世界を夢見る』(創元SF文庫、三角和代訳)をご恵送いただいた。ありがとうございます。 世界幻想文学大賞受賞作。 www.tsogen.co.jp

驢の教え

驢の教え 勝山海百合(こちらです) その家の数えで十二になる娘が病臥している薄暗い部屋に人の気配が近付いた。娘は肉の落ちた土色の顔で、老婆のようにも見えたが、自分に取り憑き重くのし掛かっている何かが、気もそぞろに離れたがっているのがわかった…

Sucked in / 吸い込まれて

吸い込まれて Toshiya Kamei 勝山海百合訳 シートベルトを外すと膀胱が爆発寸前になっていた。おれは緊急事態ですと呟きながらトイレまで遊泳していく。逆さまになって浮遊しているとファンが唸りをあげる。バキュームチューブがおれの排出液を吸引する。こ…

幻想と怪奇6

『幻想と怪奇6』(新紀元社)は「夢境彷徨 種村季弘と夢想の文書館」と題した夢の特集だ。 www.shinkigensha.co.jp 本号には君島慧是の短編「天蓋の彷徨」が掲載されている。特集に相応しく、不眠症の少女が治療のために天蓋のあるベッドで眠る……という話だ…

Find Me / かくれんぼ

かくれんぼ Toshiya Kamei 勝山海百合訳 「カズキ、どこなの?」シンジがふしをつけて言う。「もーいーかい? さがしに行くよ!」 ぼくはパパの机から拝借してきたポケット懐中電灯を握って押し入れに潜り込む。襖をぴたりと閉めてしまうと、くらやみがぼく…

¿ES ACASO UNA PERLA?(あれは真珠というものかしら)

「あれは真珠というものかしら」西文版。 "¿ES ACASO UNA PERLA? " POR UMIYURI KATSUYAMA(TRADUCCIÓN DE TOSHIYA KAMEI) www.nagarimagazine.comNagari Magazine はアメリカ合衆国フロリダの雑誌だが、スペイン語訳は他にキューバのKorad、アルゼンチンの A…

那是珍珠嗎(あれは真珠というものかしら)

「あれは真珠というものかしら」中文版。勝山海百合「那是珍珠嗎」中文繁体字版(田田譯) virtualgorillaplus.com胜山海百合「那是珍珠吗」中文簡体字版(田田译) virtualgorillaplus.com

Dewdrops and Pearls (あれは真珠というものかしら)

「あれは真珠というものかしら」英文版。"Dewdrops and Pearls" by Umiyuri Katsuyama (translated by Eli K.P. William) virtualgorillaplus.com

Beneath Her Skin / 空蝉(うつせみ)

空蝉(うつせみ) Toshiya Kamei 勝山海百合訳「マサミ……」彼女はもう一枚皮膚を脱ぎ、僕は眉をひそめる。脱ぐたびに彼女は少し小ぶりになり、祖母が持っていたマトリョーシカ人形を思い出す。 「痛みはある?」僕が尋ねると、彼女は首を振る。いいえ。 僕は…

ユキミ・オガワの紹介

Yukimi Ogawa は日本の作家である。もしあなたが知らなくても無理はない。英語で執筆し、発表しているからだ。アメリカで活躍する中国出身の作家のイーユン・リー Yiyun LI が中国語では無理、英語でなくては書けなかったと告白しているように、Yukimi Ogawa…