鳥語花香録

Umiyuri Katsuyama's weblog

てのひら怪談

とりひき

とりひき 勝山海百合 小学一年生の時、顔見知りの女の人について行って、アパートの一室から一週間出してもらえなかったことがあった。(お芋が食べたいなあ)と思いながら日に焼けた畳に横になっていたのを覚えている。丈の足りないカーテンから西日が差し…

FUDOKI MAGAZINE

英国のFudoki Magazineにてのひら怪談「軍馬の帰還」の英訳 "Return of a War Horse" (translated by Toshiya Kamei) が掲載されました。 fudokimagazine.com 原文「軍馬の帰還」の初出は第四回ビーケーワン怪談大賞投稿作で、大賞を受賞しました。

HORROR MATSURI 2020

愛知県に拠点を置くInsignia Stories のプロジェクトHORROR MATSURI 2020 に拙作「魚怪」の英訳 "One Last Splash"(translated by Toshiya Kamei)が掲載されました。 "One Last Splash" はこちらで読めます。 insigniastories.com原文の「魚怪」は『てのひ…

Antipodean SF (issue 265)

豪州のオンラインSFマガジン Antipodean SF (issue 265) に拙作 "White Peach Village" (translated by Toshiya Kamei) が掲載されました。 "White Peach Village " の原文、てのひら怪談「白桃村(はくとうそん)」は次のように始まります。 祖母から繰り返…

FUDOKI Magazine, upcoming

英国の FUDOKI Magazine に拙作「軍馬の帰還」の英訳 "Return of a War Horse" (translated by Toshiya Kamei) が掲載されます。 公開は十月八日です。Insignia Stories のKelly Matsuura さんとご一緒です。 FUDOKI Magazine upcoming(FUDOKI は日本語の風…

HORROR MATSURI coming soon

愛知県名古屋市に拠点を置くInsignia Stories のプロジェクトHORROR MATSURI 2020 に拙作の英訳 "One Last Splash"(translated by Toshiya Kamei) が採用され、十月二日(アメリカ時間)に公開されます。 "One Last Splash" の原文はてのひら怪談の「魚怪」…

麻のシャッツ

麻のシャッツ 勝山海百合拝啓 梅雨が明けて暑いことかと思います。 つつがなくお過ごしでおられますか。 周さんが涼しくて好いとおっしゃった麻のシャッツ二枚送ります。冬に織った布で縫いました。ぶかっこうでごめんあそばせ。洗っても色が悪いときは灰汁…

はかりごと

はかりごと 勝山海百合 日暮れに金沢の出張から横浜に戻り、仲町台の自宅の玄関を開けると、上がり框に妹の香澄【かすみ】がつっ立っていた。驚いて声が出た。僕の驚きをよそに、香澄は、「もうすぐ、お父さんの十三回忌じゃん?」とぼんやり呟いた。うん、…

Antipodean SF 265 (next issue)

豪州のオンラインSFマガジン AntipodeanSF の次号 Issue 265(十月号) に、拙作 "White Peach Village" (Translated by Toshiya Kamei )が掲載されます。本号、日本からは樋口恭介さんとご一緒です。 Antipodean SF, Next issue 265原文の「白桃村(はくと…

古井戸

古井戸 勝山海百合 弟が産まれた時のことを、よくおぼえている。産婆さんを呼びにいかされ、昼下がりの田んぼのあぜ道を走ったのだから。 「ばっぱ! 産まれるって」と産婆さんの家の前で大声で叫んだ。もんぺをはき、大きなあずま袋を持っておっとりと外に…

朝の庭

朝の庭 勝山海百合 朝もやの中、老いて縮んだ女性が藍色木綿の上着と灰色のズボンの普段着で庭に出ると、鬼百合の花に灰色の紙が引っ掛かっていた。彼女が蕾が折れないように染みのある指でそっと摘まむと露で濡れて重みを増した紙の落下傘で、紐の先に木片…

My Reading Programme (追記あり)

世界SF大会、CoNZealand 参加者の皆さんに、わたくしの朗読のご案内です。 四つのてのひら怪談を読む予定です。I'll read four flash fiction.Wednesday July 29, 2020 7月29日(水) Reading: Umiyuri Katsuyama(朗読:勝山海百合) Programming - Readi…

Antipodean SF ( Issue 262 )

豪州のオンラインSFマガジン AntipodeanSF Issue 262に "A Strange Incident at Mount Luofu" by Umiyuri Katsuyama, transrated by Toshiya Kamei が掲載されました。 無料で読めます。 原文「羅浮之怪」は次のように始まります。 隋の時代のことである。趙…

Antipodean SF (next Issue)

豪州のオンラインSFマガジン AntipodeanSF の来月号 Issue 262 に、拙作 "A Strange Incident at Mount Luofu" Translated by Toshiya Kamei )が掲載されます。Antipodean SF, Next issue原文は拙著『竜岩石とただならぬ娘』(MF文庫ダ・ヴィンチ)所収のて…

平成怪奇小説傑作集〈2〉

拙作「軍馬の帰還」が収録された東雅夫編『平成怪奇小説傑作集〈2〉』(創元推理文庫)の見本が出来しました。 発売日は九月二十八日です。 拙作は第四回ビーケーワン怪談大賞に投稿するために初めて書いた「てのひら怪談」(八百字におさまる怪談)でした。…

四人

過日、SFイベントに出かけたら、初めて参加したというてのひら怪談作家が来ていた。実のところ、別のイベントで会ったときに、「西崎憲さんがゲストだから来たらいい」と誘ったら来てくれたのだ。その日は他に、bk1怪談大賞(八百字の掌篇怪談、てのひら怪…

書家の息子 

書家の息子 勝山海百合 知り合いに書家の息子がいる。さらっと書いたメモの字が上手くて驚いて、父親が書家で物心がつくまえから筆に親しんでいたと知った。書道とは離れた仕事に就いていて、ゲームとSF映画が好きなこの中年男性とは趣味の繋がりで知り合…

ILC誘致のための地質調査説明会

ILC誘致のための地質調査説明会 勝山海百合 安定した花崗岩の岩盤が広がる北上山地に超線形大型加速器、国際リニアコライダーを誘致することを目的とした地質調査を行うため、岩手県奥州市の公民館で住民を対象にした説明会が開催された。会場には高齢の…

みちのく怪談コンテスト傑作選2010

拙作「麻のシャッツ」が掲載された高橋克彦・赤坂憲雄・東雅夫編『みちのく怪談コンテスト傑作選2010』(荒蝦夷)の見本が届きました。 第一回みちのく怪談コンテストに投じられた八百字の怪談の中から、百十九篇が掲載されております。荒蝦夷代表土方正志に…

庚寅

六月に刊行予定の『てのひら怪談 庚寅』(ポプラ文庫)に拙作が収録されます。 第六回ビーケーワン怪談大賞に応募した「うざね」と第七回同賞に応募した「NOU―能生―」です。 画像は東京国立博物館本館前のヨシノシダレ(吉野枝垂)。昭和四十四(一九六九…

冬の土用

十七日から冬の土用入りし、二十日は丑の日。二〇〇六年に書いたてのひら怪談が土用の丑の話だったとことを思い出して引っ張り出したら、秋の土用だった。微妙に季節が違うが公開する。 (最初は他の題だったが、友人がつけてくれた題を採用した) ひどいよ…

伸縮怪談 マコの恩返し

八月二十三、二十四日に京都の東映太秦映画村で行われた「映画村妖怪まつり 大祭」(第一回『幽』怪談ノ宴及び第十三回世界妖怪会議)の一環で開催された「小さな小さな怪談ノ宴」で、特別企画で伸縮怪談が募集された。同じプロットの五百字、八百字、千二百…